「アマモ」で伊勢湾浄化
2001年11月24日読売新聞より

アマモ増殖実験の記事

三重県が実験

 三重県では、伊勢湾浄化の切り札として、海草の一種のアマモの増殖実験を、同県二見町の海岸で始めた。波にさらわれやすいアマモを、独自の工夫を施し、海底に定着させる。成功すれば湾内の海中で繁殖させ、水質浄化に役立てる。

 県科学技術振興センター(同県四日市市)と、同センター水産研究部(同県浜島町)の共同実験。指導している三重大の前川行幸教授(藻類学)によると、アマモは一年目で一時的に増殖しても、秋には地下茎を除く部分が枯れ、地下茎が張っていないと、翌年にはほとんど残らない。

 そこで前川教授らは、約四百個の種を、砂利を固めたような三角形の多孔性コンクリートの隙間などに入れて海底に沈めた。多孔性コンクリートは、数ヶ月後に海中で分解され、穴などに沿って茎が成長。昨年度、水槽実験で生育が確かめられたという。

 種まきは水温15度以下が適しており、前川教授らは今月の16日に海底に設置。発芽後、一日で5,6センチのびた。同センター水産研究部鈴鹿研究室によると、アマモは約40年前には伊勢湾沿岸に密生していたが、1992年の調査ではほとんど消滅していた。