三重県・阿児町で真珠業者ら
「アマモ」増殖実験

マットに種子まき入り江に沈める
発芽したらアコヤガイ貝殻の上に


2001年7月29日朝日新聞より

アマモ増殖実験の記事

 三重県阿児町立神の英虞湾湾奥部で28日,魚の生育場所として重要で,全国的に激減している海草「アマモ」を,真珠養殖用のアコヤガイの貝殻を使って増殖させる実験があった(写真)。地元に大量にあるアコヤガイの貝殻を使ったアマモ増殖法は,全国的にも珍しい。

 地元の若手真珠養殖業者らでつくる立神真珠研究会(平井覚会長)が,三重大学生物資源学部の前川行幸教授や大成建設などの技術指導で,取り組んだ。

 アコヤ貝の貝殻を幅1m,長さ2mの網状の袋に詰めて「アマモ造成基盤」として。立神浦の泥地に埋めた。これとは別に,炭素繊維などで作った数種類の網状マットにアマモの種子をまき,近くの入り江に沈めた。

 10-11月頃にマットの種子からうまく芽が出れば,マットを「造成基盤」の上に移す。造成基盤にアマモが定着すれば成功で,来夏ごろに結果がわかりそうだ。「アコヤガイの貝殻を袋に詰める方式は全国でもおそらく初めて」(前川教授)という。

 これまでのアマモの移植,増殖は,田植え同様にアマモを手作業で海底に植えたり,種を海底にまいたりなどしていたという。が,作業効率が悪いうえ,アマモが根づかず消失しやすいという。

 実験場周辺を含む英虞湾はアマモが豊かで,実験が成功すれば,造成基盤などをさらに海中に敷き,種子の「受け皿」としてアマモを増やし,全国への「アマモ供給基地」とし,アマモ草原を復活させる期待もある。