海藻押し葉の作り方 |
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誰でも作れる海藻押し葉 | |||||||||||
『海藻おしば カラフルな色彩の謎』より 横浜康継・野田三千代 共著 海遊舎 |
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1. 採集
干潮時の磯で生えている海藻を採集するほか、海が少し荒れたあとに砂浜へ出かけると美しい赤いものなど、深所に生えていたたくさんの種類の海藻を拾うことができる。採集した海藻は水を切ってポリ袋やバケツに入れ、なるべく太陽光にあてないようにして運ぶ。 |
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2. 保存
1〜2日後に押し葉にする場合は、水道水で洗わずにポリ袋に入れて、冷蔵庫内で保存する。長期間保存する場合は、海水か水道水でごみや砂を落とし、小さなポリ袋に小分けしていれ、水や空気を追い出すようにしながら口を輪ゴムで閉じて、冷凍する。 |
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3. 塩抜き
水道水で洗いながら、ごみや砂を落としたあと、水道水に漬けておく。薄いものなら数分、厚いものでも10分ほどでよいがほとんどのものはもっと長くつけておいてもよい。冷凍品は、水道水で解凍している間に塩分が抜ける。 |
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4. 海藻を台紙にのせる
水道水を深めにはったバットか洗面器に塩抜きが済んだ海藻をいれ、そのまわりに海藻よりひとまわり大きめの台紙を入れる。海藻と台紙を水面に浮かべるように手のひらで支えながら、ピンセットか楊枝で海藻の形を整え、そのまま押し上げるようにして、水からあげる。 |
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5. 水切り
斜めにおいた簀の子板などに、海藻が乗った台紙を張り付けて、海藻や台紙の水が垂れるのを待つ。台紙は斜めにした方が滴が落ちやすい。長くおくと海藻が縮んだり、台紙が曲がったりするので、5分間くらいを目安にする。 |
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6. 吸取紙にはさむ
ダンボール(1)の上に吸取紙(2)を乗せ、そのうえに海藻が乗った台紙を隙間なく並べ、さらにそのうえに布(3)、吸取紙(4)、ダンボール(1)を順に重ねる。これを繰り返して、最後に厚い板をのせ、そのうえに重石を乗せる。布は、海藻が自分の糊分で吸取紙に張り付くのを防ぐ役目をする。 |
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7. 乾燥
ダンボールの目に向かって、扇風機などで風を送ると、薄いものは一晩、かなり厚いものでも2〜3日で乾く。ダンボールを使わない場合は、吸取紙を朝夕ごとに変えて2〜4日かかる。この方法のための海藻押し葉乾燥機も市販されている。 |
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8. 完成
乾いたらダンボールや吸取紙を取り除き、布を丁寧にはがす。ほとんどの海藻は台紙に張り付いているが、はがれていたら、合成糊で貼り、布をかぶせ半日ほど押しておく。海藻が縮んでいたり台紙にしわができていたら、もう一度水に漬けて押し直す。 |
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9. 加工と保存
完成品は、身分証明書などのようにラミネートすると、傷みにくくなり、栞にすることもできる。葉書の一部に海藻をはった場合は、ブックカバーなどのフイルムを張り付けると、郵送中の傷みを防げる。額に入れて飾る場合は、強い光をさけると色を長く保てる。 |
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美しい海藻押し葉作りのポイント | |||||||||||
採集と持ち帰り 海藻は海水の中で生きている生物なので、海水に入れて運んだ方がよいと思われがちだが、少量の海水中に入れておくと、かえって窒息して死んでしまう。ポリ袋やバケツに入れるときは、できるだけ水を切って空気に触れるようにする。できれば網袋か布袋に入れて持ち歩くと水がよく切れる上、水の気化によって海藻が冷やされるので、鮮度がよく保たれる。 持ち帰りに時間がかかる場合いは、ポリ袋に入れて、さらにアイスボックスに入れる。保冷剤を新聞紙で何重にも包んで、一緒に入れておくとなおよい。 作り方1 持ち帰ったその日のうちに押し葉にできないときや、たくさん採集したために、押し葉にできないで残ってしまったときなどに、一〜二日内に押し葉にする分は冷蔵庫内に保存すればよい。できるだけ海藻が生きていられるように、海藻の入ったポリ袋を空気で膨らませ、その口を輪ゴムで閉じる。この時、海藻を水道水で洗うと死んで、やがて腐敗してしまう。ただし、ホンダワラ類やヒジキなどは、水道水に漬けておくと、室温でも二日間くらい腐らない。 長期間の保存には冷凍が向いている。まず、海水か水道水でごみや砂を洗い落としてポリ袋につめるが、解凍と冷凍を繰り返すと色があせるので、海藻を、押し葉作り一回分くらいずつに分けて小さなポリ袋にいれ、水や空気を絞り出すようにしながら、口を輪ゴムで閉じる。 ポリ袋には、採集地、日付、分かれば種名などを記入した耐水紙片を入れておくとよいが、個人的な趣味の押し葉作りのためには、何種類も混ぜて冷凍した方がよいだろう。 作り方2 ほとんどの海藻は、水道水に数分から10分くらい漬けるだけで塩分が抜けるが、そのあともしばらく水道水に漬けておいた方が美しく仕上がる種類もある。紅藻のトサカノリ、カバノリ、オオオゴノリなどは、弾力が強く、思うように台紙の上に広げられない種類だが、トサカノリは30分くらい、カバノリとオオオゴノリは一晩くらい水道水に漬けておくと柔らかくなる。 ホンダワラ類やヒジキなどは、台紙に茶色のしみがつくが、一昼夜ほど水道水に漬けると、しみがつかないようになる。この場合、水道水がすぐに茶色になるので、ときどき取り替えるか、水道栓をごく細めにあけておくとよい。ヒジキは一昼夜でしみはつかないようになるが、二昼夜水道水に漬けると、柔らかくなって、仕上がりが美しくなる。 紅藻のタマイタダキとアヤニシキは、赤色で柔らかなため、塩抜きは数分以内の方がよいなどといわれているが、美しく仕上げるには、30分ほど水道水に漬けた方がよい。 両種とも水道水に漬けると、先端から橙色に変わるが、この変色は仕上がりの色に影響しない。水道水に漬けるといったんかたくなるが、30分くらいたって全体が変色すると、柔らかくなって、自由に台紙の上に広げることができるようになる。 この2種類は、冷凍するときも塩抜きしておかないと色があせてしまうという、特殊な性質の持ち主である。また30分くらい水道水に漬けて、柔らかくなってからでないと、ポリ袋に詰めるときに折れてしまう。 作り方3 植物標本を張り付ける紙を台紙と読んでいるが、海藻押し葉用には、官製はがき程度の厚みの上質模造紙が向いている。標準サイズは八ッ切りと呼ばれ、A3 判とA4判の中間の大きさである。海藻押し葉用には、その二分の一(一六切り)から八分の一(六四切り)までの各サイズも用意する。海藻押し葉はがきをつくるためには、官製はがきや私製はがきをそのまま用いる。 海藻の大きさに合わせて台紙のサイズを選ぶが、適当と思うものより一サイズ上のものを用いるとよい。水中に浸した台紙の上で、海藻は予想以上に大きく広がるからである。 作り方4 バットに深めに張った水の中で、右利きの人は左の手の平で台紙を下から支え、その上で海藻を広げるのが基本であるが、手の平の代わりに下敷きなどを用いてもよい。さらに下敷きごと水からあげて、その上で、海藻の部分部分に水を垂らしながら、ピンセットなどで枝を広げるようにしてもよい。 作り方4 以前は海藻押し葉を乾かすのに、布と吸取紙または新聞紙だけが使われていたが、最近はダンボールをはさみ、風を送って乾かすようになった。 吸取紙もダンボールも、厚紙製の菓子箱や家電品のダンボール箱の廃物利用で得られるが、八ッ切り台紙に向く大きさのものは得にくい。家庭で海藻押し葉作りを楽しむ場合いは一六切り台紙用の厚紙とダンボールを用意しておけば、ほとんど間に合うだろう。 布も、以前はさらし木綿が使われていたが、海藻の種類によっては強く張り付いてしまい、はがすのに手間がかかった。テトロン混紡のいわゆるテトロンブロードなどを使うと、ほとんどの海藻は全く張り付かず、海藻の表面に繊維が残ることもなくなる。古くなったワイシャツやシーツの廃物利用でもよい。 作り方6 フクロツナギ、トサカノリ、ヒジキ、ホンダワラ類など、厚みがあったり、部分的に乾きが遅いような海藻の押し葉は、台紙にしわのできることが多いが、乾きあがったあと、もう一度全体を水道水に漬け、台紙がのびたところで、水切りからやり直す。布、吸取紙、ダンボールを使って、一晩押しながら送風すると、台紙もきれいにのびたまま乾きあがる。 室温が高い場合など、種類によっては縮むことがあるが、やはりもう一度水道水に漬けてやり直す。この場合は、押し始めてから一晩後くらいに送風を開始するとよい。 ヒビロウドなど、寒天そのもののような柔らかい海藻は、台紙に乗せたあと、緩やかに傾けた水切り板の上で水を切り、押さずにそのまま、あるいは扇風機の風を当てながら1〜2日おいて、完全に乾燥させてからもう1度水道水に漬けて、水切りし、ほかの海藻と同じようにして押す。 作り方8 |
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